わたしが、村上春樹作品の中で(今のところ)いちばん好きなのがこの『国境の南、太陽の西』です。
何度も読んでいて思い入れが強い作品なので、一度にまとめて何か書けそうにはありません。
気まぐれに綴っていこうと思います。
(…こんなにゆるいのに「談義」なんてタイトルを付けて良いのかしら?「その2」以降はちゃんと書けるのかしら?)
とりあえず、少し前に英語版を入手したのでその写真を。
僕はその暗闇の中で、海に降る雨のことを思った。広大な海に、誰に知られることもなく密やかに降る雨のことを思った。雨は音もなく海面を叩き、それは魚たちにさえ知られることはなかった。誰かがやってきて、背中にそっと手を置くまで、僕はずっとそんな海のことを考えていた。
Inside that darkness, I saw rain falling on the sea. Rain softly falling on a vast sea, with no one there to see it. The rain strikes the surface of the sea, yet even the fish don't know it is raining.Until someone came and rested a hand lightly on my shoulder, my thoughts were of the sea.
Haruki MurakamiSouth Of The Border, West Of The Sun2003, Vintage,p.187, translated by Philip Gabriel
「そんな海」に思いを馳せて。