桜と雨と(5)

三月つごもり(ばかり)に、さくらの花を、雨のる日、人のもとへりてたてまつる
れつゝぞしひて(をり)つる桜花さくらばな春はいくもあらじとおもへば
在原業平・業平集・5)

 

雨に濡れながらむやみに折った桜花、春はもうあと何日もないだろうと思うので

 

伊勢物語第80段、『古今和歌集』巻第二・春歌下にも見える歌。

>歌末の「思へば」は「思うので」のニュアンス…?

 

和歌引用

室城秀之・高野晴代・鈴木宏子(1998)『和歌文学大系18小町集・遍昭集・業平集・素性集・伊勢集・猿丸集』明治書院