2020-01-01から1年間の記事一覧

紫陽花

紫陽花 思いきり愛されたくて駆けてゆく六月、サンダル、あじさいの花 俵万智「元気でね」『サラダ記念日』 祖母の影響で、小さい頃から『サラダ記念日』をよく読んでいました。 最近、祖母と連絡を取った時に、今の季節に合うねと、この歌を送ってくれまし…

土偶の切手の話

5月29日から発売されている特殊切手「国宝シリーズ 第1集」。 www.post.japanpost.jp 第1集「考古資料」(63円切手)に土偶が! しかも5種類!! これはこれは!と思って早速入手しました。 5種類の土偶の愛称と出土した遺跡 ①縄文のビーナス:長野県茅野市…

バンドデシネ版「どこであれそれが見つかりそうな場所で」

立て込んでいて、久しぶりになってしまいました。 しばらく前に入手していたこちら。 バンドデシネ版「どこであれそれが見つかりそうな場所で」 個人的には村上春樹に限らず、映像化、漫画化の類はあまり見ないようにしているのですが、こちらは気になったの…

『猫を棄てる―父親について語るとき』

読みました。 猫を棄てる―父親について語るとき 戦争の記憶と過去の継承は『ねじまき鳥クロニクル』を、 木に登った猫の話は『スプートニクの恋人』を、 路面電車の話は「どこであれそれが見つかりそうな場所で」を、 それぞれ彷彿とさせる内容でした。 挿絵…

「それが言えるような気がして」

今日はちょっと雰囲気を変えて。 高校生の時にとてもお世話になった先生から頂いた絵はがき。 確か大学受験の前くらいに頂いて、それからずっと大切にしているもの。 星野富弘さんの絵はがき 二番目に言いたいことしか人には言えない 一番言いたいことが言え…

『国境の南、太陽の西』談義その2

ゆるりと「その2」です。 「ネタバレ」なるものをしたくはないのですが、わたしの言葉で語るよりもむしろ原文を引用したいという気持ちの方が強いため、未読の方はご注意下さい。 (このブログを見つけて下さる方なんてほぼいないだろう、とか思っていますが…

「-がほ」を含む歌(19)

題知らず 今はただ心のほかに聞くものを知らずがほなる萩の上風 (式子内親王・新古今和歌集・巻第十四・恋歌四・1309) 今はもうあなたの訪れかどうかなんて心に留めずに聞いているのに、知らん顔で萩の葉を揺らす風よ >「知らずがほ」 >忘れたと思ってい…

「-がほ」を含む歌(18)

うるまの島の人こゝに放たれ来て、こゝの人の物言ふを聞きも知らでなんあるといふ頃、 返り事せぬ女につかはしける おぼつかなうるまの島の人なれやわが言の葉を知らずがほなる (前大納言公任・千載和歌集・巻第十一・恋歌一・657) はっきりしませんね。う…

『国境の南、太陽の西』談義その1

わたしが、村上春樹作品の中で(今のところ)いちばん好きなのがこの『国境の南、太陽の西』です。 何度も読んでいて思い入れが強い作品なので、一度にまとめて何か書けそうにはありません。 気まぐれに綴っていこうと思います。 (…こんなにゆるいのに「談…

「-がほ」を含む歌(17)

女のもとにつかはしける 恨むれど戀ふれどきみが世とゝもにしらず顔にてつれなかるらん (讀人しらず・後撰和歌集・巻第十四・恋六・998) わたしが恨めしく思っても、恋しく思っても、いつもあなたは知らん顔をして冷たいのでしょうね >「しらず顔」 >「…

「-がほ」を含む歌(16)

植ゑて見し花のあるじもなき宿に知らず顔にて来ゐる鶯 (源氏物語・幻) 花を植えて見ていた主ももういない宿に、何も知らない顔でやって来る鶯よ >「知らず顔」 >源氏の歌 和歌引用 阿部秋生・秋山虔・今井源衛・鈴木日出男(1996)『新編日本古典文学全…

「バート・バカラックはお好き?」そして「窓」

はじめて村上春樹作品について書きます。 村上春樹作品は一通り読んでいて、書きたいことはいろいろあるものの、個人的な思い入れがやや強すぎる作品もあり、なかなか書けずにいました。 たまたま「眠い」という短編が読みたくなって、『カンガルー日和』を…

マツバギク

マツバギク 今はそっと、強くなれるように。 わたしの幸せはわたしが守ると決めたから。

「-がほ」を含む歌(15)

心から何恨むらん旅衣たつ日をだにも知らずがほにて (十六夜日記) ご自分の心のせいなのにどうして恨み言をおっしゃるのですか、旅立つ日さえも知らないような顔をして >「知らずがほ」 >式乾門院御匣の歌(以下)への贈答 人間だに袖や濡れまし旅衣たつ…

「-がほ」を含む歌(14)

あひにあひて物思ふころのわが袖に宿る月さへ濡るる顔なる (伊勢・古今和歌集・巻第十五・恋歌五・756) 私の心によく似て、物思いにふける私の袖に映った月までもが涙に濡れたような顔をしていることよ >「濡るる顔」((9)(2020-05-10)山家集284の歌…

「-がほ」を含む歌(13)

月前恋といへる心をよめる 歎けとて月やは物を思はするかこちがほなる我が涙かな (西行・千載和歌集・巻第十五・恋歌五・929) 嘆けと言って月が物思いをさせるのだろうか、そうではないのに、恨みがましく流れる私の涙であることよ >「かこちがほ」 >命…

「-がほ」を含む歌(12)

刈り残す美豆の真菰に隠ろひて影持ちがほに鳴蛙哉 (西行・山家集・雑・1018) 刈り残した美豆の真菰に隠れながら、影(守ってくれるもの)を得たように鳴く蛙かな >「(影)持ちがほ」 >「隠ろふ」(自ハ行四段) 和歌引用 西澤美仁・宇津木言行・久保田…

「-がほ」を含む歌(11)

九月十三夜 今夜はと所得がほに住月の光もてなす草の白露 (西行・山家集・秋・379) 今夜こそはと、地位を得たように澄む月の光に、いっそうの趣を添える草の白露よ >「所得がほ」 >「光もてなす草の白露」を『和歌文学大系』は「草の白露が月の光を引き…

「-がほ」を含む歌(10)

隣の夕の荻の風 あたりまで哀知れともいひがほに荻の音する秋の夕風 (西行・山家集・秋・288) 近所まで「風情を知れ」とでも言いたそうに荻の葉ずれの音を立てる秋の夕風よ >「いひがほ」 >命令表現も含まれている >なんだかすっかり「-がほ」の虜にな…

「-がほ」を含む歌(9)

女郎花水に近しと云ことを 女郎花池の細波に枝漬ちて物思ふ袖の濡るゝがほなり (西行・山家集・秋・284) 女郎花が池のさざ波に枝を濡らして、それはまるで物思いにくれる袖が涙で濡れたようだ >「濡るゝがほ」(連体形+「がほ」) >「漬ちて」(非対格…

「-がほ」を含む歌(8)

花の歌十五首よみけるに 吉野山人に心をつけがほに花より先にかゝる白雲 (西行・山家集・春・143) 吉野山では人に花を待つ心を抱かせるように、花が咲くのに先立ってかかっている白雲よ >「(人に心を)つけがほ」 和歌引用 西澤美仁・宇津木言行・久保田…

「-がほ」を含む歌(7)

夕暮時鳥といふことを 里馴るゝ黄昏時の蜀魂聞かずがほにて又名告らせん (西行・山家集・夏・181) 人里に馴れた黄昏時のほととぎすよ、鳴いた声を聞かなかったふりをしてもう一度名乗らせよう >「聞かずがほ」 >意志・意向の「む」 和歌引用 西澤美仁・…

タツタナデシコ

タツタナデシコ 銀色っぽい細い草と強いピンク色の花が特徴的。

「-がほ」を含む歌(6)

子規を待ちて明ぬといふことを 時鳥鳴かで明ぬと告げがほに待たれぬ鳥の音ぞ聞こゆなる (西行・山家集・夏・186) ほととぎすが鳴かずに夜が明けてしまったと告げるように、待ちもしない鶏の鳴く声が聞こえてくるよ >「告げがほ」 >「ぬ」の識別の問題に…

ハナミズキ

ハナミズキ 少し前に撮ったもの。 白い花に目を惹かれる。 (そういえば、今年はコブシの花の写真撮れてないなぁ…) 穏やかに生きていたい。

「-がほ」を含む歌(5)

蛙 真菅生る山田に水を引すればうれしがほにも鳴蛙かな (西行・山家集・春・167) 真菅の生える田に水を引いたので、嬉しそうに鳴く蛙であることよ >「引す」(まかす) >「うれしがほ」 和歌引用 西澤美仁・宇津木言行・久保田淳(2003)『和歌文学大系2…

「-がほ」を含む歌(4)

数ならぬ身をも心の持ちがほに浮かれてはまた帰り来にけり (西行・新古今和歌集・巻第十八・雑歌下・1748) 取るに足りない身であるのに、人並みの心を持っているような顔をして浮かれ出てはまた草庵に帰って来たことだ >「(心の)持ちがほ」 和歌引用 峯…

「-がほ」を含む歌(3)

百首歌たてまつりける時、蛍の歌とてよめる 昔わが集めしものを思ひ出でて見なれがほにも来るほたるかな (藤原季通・千載和歌集・巻第三・夏・201) 昔わたしが(書を読むために)集めたことを思い出して、昔からの馴染みのようにやってくる蛍であることよ …

「-がほ」を含む歌(2)

身を知れば人の咎とは思はぬに恨みがほにも濡るゝ袖哉 (西行・山家集・恋・680) 自分の身のほどを知っているので、あなたがわたしに冷たいのはあなたのせいではないと分かっているのに、まるであなたを恨むかのように涙で濡れる袖であることよ >新古今和…

「-がほ」を含む歌(1)

立ち替る春を知れとも見せがほに年を隔つる霞成けり (西行・山家集・春・4) 「季節が移り変わり、春が訪れることを知りなさい」とでも言いたそう(見せたそう)に、年を隔てて立っている霞であることよ >命令表現も含まれている。 >新しいテーマは「-が…