題知らず
今はただ心のほかに聞くものを知らずがほなる萩の上風
(式子内親王・新古今和歌集・巻第十四・恋歌四・1309)
今はもうあなたの訪れかどうかなんて心に留めずに聞いているのに、知らん顔で萩の葉を揺らす風よ
>「知らずがほ」
>忘れたと思っていても忘れていないこともあるし、覚えていると思っていたのに忘れてしまったこともあるし、もうそんなことすら思い出せないほど忘れてしまったこともある。そして、音や香りや景色や文字や、ふとそういう何かに触れた時に、記憶の断片が見えることがある。(雑感)
和歌引用
峯村文人(校注・訳)(1995)『新編日本古典文学全集43新古今和歌集』小学館