2020-04-01から1ヶ月間の記事一覧

桜と雨と(4)

百首歌の中に 花は散りその色となくながむればむなしき空に春雨ぞ降る (式子内親王・新古今和歌集・巻第二・春歌下・149) 桜の花は散り、何ということもなくぼんやりと眺めると、むなしい空に春雨の降ることよ 和歌引用 峯村文人(校注・訳)(1995)『新…

桜と雨と(3)

春雨の降るは涙かさくら花散るを惜しまぬ人しなければ (大友黒主・古今和歌集・巻第二・春歌下・88) 春雨が降るのは涙だろうか、桜の花が散るのを残念に思わない人はいないのだから >副助詞「し」がなんとなく好き。 和歌引用 小沢正夫・松田成穂(校注・…

桜と雨と(2)

花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに (小野小町・古今和歌集・巻第二・春歌下・113) 花の色は色褪せてしまったな、むなしく長雨が降り続くうちに 私(の容姿)もすっかり衰えてしまったな、むなしく私がもの思いにふけっている間…