桜と雨と(7)

後朱雀院御時、上の男どもひんがし山の花見侍り
けるに、雨の降りにければ白河殿にとまりて、
おのおの歌よみ侍りけるによみ侍りける
春雨に散る花見ればかきくらしみぞれし空の心ちこそすれ
(大納言長家・千載和歌集・巻第二・春歌下・82)

 

春の雨に散る花を見ていると、一面を暗くしてみぞれが降る冬の空のような悲しい気持ちがするものだ

 

>動詞「みぞる」(自ラ行下二)

 

和歌引用

久保田淳(校注)(1986)『千載和歌集岩波書店